~ 本場のティータイムを、岡崎で ~
イベント開催報告
◆2025.11.30 Keswickテーマトーク
 〈「AI(人工知能)」をテーマに語り合いましょう〉
テーマはAIでしたが、とくに専門家という参加者さんはおらず、一般人から見たAIについてのお話となりました。それでも意外に深い会話ができ、実際にchatGPTを操作して絵を描かせたり、音楽や文章を作ったりなど、楽しいイベントとなりました!

春名「最初にお伝えしておきますと、僕も妻も、AIについては懐疑的なスタンスです」
イベント常連参加のKさん「僕も同じです」
春名「妻から聞いた話だと、今の小学生の6割は、悩みを相談したい時に親よりもAIに聞くらしいです。Kさんは、AIを自分で使うことはありますか?」
Kさん「まったく使わないです」
春名「積極的に使わない場合でも、今は検索結果にAIが使われてたり、amazonの顧客レビューのまとめに使われてたりなど、自然に生活に入り込んでいますね。ただ、AIの記述には本当のことと同じトーンで間違いも書いてあって、結果として全部が信用できないので、僕はAIの文章を見ないようにしています」
イベント常連参加のTさん「グーグルの検索結果などを見ると、噛み砕いてわかりやすくなっている面もありますね。いいのか悪いのかわかりませんが。AIに嘘をつかれるかもしれないし、インスタなんかでも明らかにAI画像だと思うものもあります」
Kさん「僕の友達が、僕が描いた絵をAIでアニメにしてくれたんです。これはなかなか面白いと思いました」
春名「今はアニメ映画でも使われていますね。ただ、動物の動きを見ると、似ているぶん違和感が気になることがあります。最近だと『FLOW』という映画もAIを使っているんじゃないかと思ったんですが、映像には首を傾げました」
あでりー「あの映画は、脚本もAIに作らせたのかなとも思いました。何が言いたいのかわからないし、いい映画は何かを考えさせてくれますが、考えるより混乱するだけでした」
春名「僕は科学を否定するつもりはないし、便利になることも否定しませんが、どういうものであれ人を幸せにするものであってほしいんです。その意味でAIは人をまったく幸せにしてくれるとは思わないんです」
あでりー「AIに聞けばなんでも答えをくれるから、考えるきっかけをなくしてしまいますね。カーナビを使っていたら地図を読めなくなるのと同じです」
春名「Kさんもご存知のとおり、絵を描く行為はAIの得意分野なので、いくらでも描けてしまいます。AIの絵を人が求めて買うようになると、画家は大変ですよ。僕は、人が描く絵には理屈を超えたすごさがあると思っていますが」
Kさん「よくわかります」
Tさん「AIがあれば、肉体労働以外の仕事に人間はいらなくなるんじゃないでしょうか」
あでりー「文章もそうですね。何年か前に、作家の人達が自分達の文章をAIに覚えさせないでくれと訴えたこともありました」
Kさん「写真や音楽も同じで、AIでいくらでも作れるので、従来のカメラマンやミュージシャンはたまったものじゃないですよね」

春名「僕らはまだAIの出現に立ち会っているのでこうして議論もできますが、AIがあって当然の世代になると使って当然だし、疑問も抱かないでしょうね。でも、僕らの世代でも喜んで使おうとする人は多いです」
あでりー「ずっと以前は、悩んで相談した人に自殺を勧めて問題になりました。今は改善されましたが、やはりAIに学ばせるにしても、満遍なく情報を与えないといけませんね」
春名「情報操作もできますし、ウイルスのようなものが仕組まれる可能性もあります」

春名「最近思い出したのですが、僕は大学の卒業論文のテーマがAI関連でした。巡回セールスマン問題といって、例えば町にある10カ所ほどの家を全部めぐるための最短ルートを探すんですが、これをAIで解こうとする研究です。従来のコンピュータだと、すべてのルートの距離を計算して最短のものを見つけることになり、これだとかなり時間がかかります。ところが人間だと直感的に最短ルートを見つけられるので、これをコンピュータで実現しようという研究でした。結果として、人間の脳の仕組みに似た方法で似たような結果が出ることがわかりました」

Kさん「さきほどのアニメを作ってくれた僕の友達は、勉強や運動が苦手で、コミュニケーションも得意ではないんですが、AIでアニメを作ったりするのが本当に喜びなんですね。だから、悪いことばかりではない気がします。人に相談できなくても、AIなら相談することができます」
春名「AIのほうが気兼ねなく相談できる人は確かにいますね。そこは難しくて、それでいいという意見と、やっぱり人間とコミュニケーション取ろうよという意見があって、僕はどちらかというと後者なんですよね。ただ、それは強制しても仕方のないことですし」
Kさん「僕の上司や同僚もそうなんですよ。他の人に聞いたり自分で考えたりすればいいんじゃないか、と言うんですが、彼にはもうそれがストレスになるんです。旅行に行っても、誰にも頼れなくて全てAIに聞くという感じなので、そういう人には、AIは悪いものではないのかなと思います」
春名「子供や大人に限らず、悩み相談はかなり多くの人がAIにしているみたいですね。僕はやらないですが、占いと同じだと思います。占いよりも科学的で当たる確率も高いとなれば、さらに使われるでしょうね」

春名「僕は海外旅行に行った時のビデオを自分で編集するんです。それで、場面に合ったBGMを自分で選んでつけるんですが、BGM集のCDを買ったりネットで探したり、けっこう大変なんです。それが最近だと、AIでBGMを作るサービスがあるので、これは便利だと思って使ってみたんです。今回、それを実際にやってみたいと思います。
 僕が探していたのは、朝の風景にふさわしい、爽やかで明るい曲でした。たとえば、次のようなものです」
(下記をクリックすると実際の音楽が流れます) 春名「使うのは『MUBERT』というサービスです。作りたい音楽を示すプロンプト(指示文)は英語に限られるため、自分で英文を書けばいいんですが、今回は英文を作るところをchatGPTにやらせてみますね」
《以下、chatGPTとのやりとりの要約》
ビデオの編集で使う、朝の爽やかな曲をBGMで作りたいので、200文字以内の英文でプロンプトを作ってください。
こちらが 200文字以内の英文プロンプト です:
“Create a fresh, uplifting morning soundtrack for video editing. The music should feel bright, calm, and inspiring, with soft acoustic elements and gentle rhythms that evoke sunrise, new beginnings, and a peaceful start to the day.”
春名「この英文をMUBERTに入力すると、200文字を超えているというエラーとなります。これは僕の指示が良くなかったので、やり直しますね。念のため、スペース込みで190文字という指示にしてみます」
《以下、chatGPTとのやりとり》
ビデオの編集で使う、朝の爽やかな曲をBGMで作りたいので、スペースを含めて190文字以内の英文でプロンプトを作ってください。
こちらは スペース込み190文字以内の英文プロンプトです:
“Create a fresh, uplifting morning BGM for video editing, with light acoustic tones, gentle rhythms, and a bright, calm atmosphere that evokes sunrise and a peaceful start to the day.”
春名「これで有効な英文プロンプトができました。これをMUBERTに入力してできたのが、この音楽です」 春名「どうでしょう、みなさん」
Tさん「なにか、不安な感じに聞こえますね」
あでりー「不協和音ですね。弾き始めの木琴みたいな」
春名「AIで作ると、なぜかだいたいこんな感じになるんです。ぜんぜん、朝の爽やかな曲ではないですよね。こうしてできた曲を聞いて、プロンプトを入れ直す、という作業を何度も繰り返すと少しずつ良くなってくるらしいんですが、僕はこれは使えないと思って、やめにしました」
Kさん「これが今のAIの限界なんでしょうね」

春名「次はchatGPTに、絵を描かせてみましょうか。このお店(cafe Keswick)にふさわしい絵、という指示で」
《以下、chatGPTとのやりとりの要約》
cafe Keswickにふさわしい絵を描いてください
画像が作成されました:
Kさん「ああ、これはこれでいい絵ですね」
Tさん「いいじゃない!」
あでりー「ポストカードでありそう」
春名「こうやって、それらしい絵を描くんですよね。それじゃあ、cafe Keswickはどういう店か、聞いてみましょうか。ネットにかなり情報を出しているので、それを拾ってくると思います」
《以下、chatGPTによるやりとりの要約》
cafe Keswickはどういう店ですか?

いいですね。Cafe Keswick(カフェ ケズウィック)がどんなお店か、最近の情報をもとにざっと説明します。ご参考になれば。
◎Cafe Keswick とは
・Cafe Keswick は、愛知県岡崎市稲熊町後田にある喫茶・スイーツのお店です。
・このカフェは 「英国菓子」「本格紅茶」「丁寧なドリップコーヒー」 を特徴としていて、いわゆる“ほっと落ち着けるカフェ時間”を大切にしているようです。
・メニューにはスコーン、ショートブレッド、各種ケーキ、「ティーローフ」や「チョコレートティフィン」など、本格的かつやさしい英国風のお菓子が並びます。
・紅茶も、茶葉の産地から厳選されたものを使っていて、ストレートでもミルクティーでも楽しめるように、好みに応じて選べるようです。
・コーヒーは「松屋式」という淹れ方で出されていて、いわゆる凝ったドリップ方法を使った、 “味の深さ” を大切にした一杯が楽しめるとのこと。
◎雰囲気と利用シーン
・店内は落ち着いた雰囲気で、席数は多くありません(総席数12席との情報があります)→ 少人数で静かにお茶を楽しみたいときに向いています。
・喫煙は不可で、ペット連れはNG。落ち着いた時間を求める人向けです。
・Wi-Fiや電源も利用可とのことで、読書やゆっくりお茶を飲みながらの作業・読書などにも向いています。
・「英国菓子とお茶でゆったり」できるため、ひとりの時間、友人とのおしゃべり、あるいは静かな午後のティータイムなどにぴったりだ、という地元の声もあります。
◎どんな人にオススメか
・紅茶やコーヒー、焼き菓子が好き、特に英国風のスコーンやショートブレッドなどのお菓子が好きなら
・静かにゆったり過ごしたい、席数が多くなく、落ち着いた雰囲気なので、一人でも居心地よく過ごせる
・読書、作業、友人とのおしゃべりなど、どちらの使い方にも対応できる空間を求める人
・カフェらしい華やかさより、「ほっと和む」「落ち着き」「手作りのお菓子・飲み物」を楽しみたい人

もしよければ、最近のメニュー例人気のスイーツ、アクセス方法(駐車場・最寄り駅など)も調べてお伝えしますよ。
春名「こういうのは、得意なんですよね」
Kさん「すごい、ぜんぶ本当のことじゃないですか」
春名「ティーローフとかチョコレートティフィン、松屋式も書いてあります」
あでりー「はあー……恐ろしいな……」
春名「情報として、だいたい合ってます。全てネットに出している情報なので、拾いやすいんでしょう」

(この後、副店長について、「春名孝はどういう人か」を聞いてみましたが、これは情報が少ないため明確な答えが得られませんでした)

あでりー「でも、こうやってどんどん学習していくわけですから、いろんな知識や技術をがんばって身につけた人が、どう思うかですよね」
Tさん「人間は1日8時間くらいしか働けませんが、AIは24時間フル稼働ですしね」
春名「それでも、今はむりやりお金をかけて開発していますが、AIバブルと言われていて、いつか弾けるんじゃないかと思います。前にテレビで見ましたが、AIの結果に修正を加える作業を、アフリカなどの貧しい地域の人々が担っているんです。本部からネットで指示が来て、たとえば送られた文章や画像が正しいかどうかをチェックして返すというものです」
あでりー「でもそうやって送られる内容が陰惨なものだったりして、精神的な被害を被った人も多いらしいです。そして、そのAIを使っているのは先進国の人々なんですよね」
Tさん「でも、AIで作ったものって、なにか違和感がありますね。文章を読んでも、これはAIじゃないかと思うものがあります」
春名「そういうところを修正はしていくんでしょうが、まったく人間と同じにはならないような気が、僕はします」

春名「また絵を描かせてみましょうか。今度はさっきと少し変えて、cafe Keswickの店内に飾るのにふさわしい絵、という指示にしてみます」
《以下、chatGPTとのやりとりの要約》
cafe Keswickの店内に飾るのにふさわしい絵を描いてください
画像が作成されました:
春名「……指示は『カフェの店内に飾るのにふさわしい絵』なのに、カフェの店内を描いた絵になりました(笑)」
あでりー「構図はいまひとつ好きじゃないです(笑)」
春名「スコーンも適当ですし。単なる、それっぽい絵でしかありません。AIは、まがいものは上手いですが、結局まがいものから出られない気がします」

春名「なにか、他の絵を描いてみますか?」
Tさん「仕事帰りの夕日の絵、をお願いします。知り合いの絵で、夕日で木がオレンジ色に光っていて、工員さんが自転車で帰っていく絵があるんですけど、AIはどう描くのかなと思って」
《以下、chatGPTとのやりとりの要約》
仕事帰りの夕日に照らされて木がオレンジに光っていて、自転車で帰宅する工員の絵を描いてください
画像が作成されました:
あでりー「夕日の景色じゃなくて、人が主体だから、構図がどうもイマイチですね」
Tさん「帰っていくところではない、止まっているみたいです。やっぱりまだまだ人間の描くもののほうがいいですね。でも、わずかこれだけの時間で描いてしまうんですね」
あでりー「こうやって指示して絵ができるんだったら、人間はどうしようってなっちゃいますね」
Tさん「看板なんかはすぐできますね」
春名「まあ、それで済ませられるものなら使ってもいいかもしれませんが。とにかく、AIは人間を幸せにしないと僕は思います」
あでりー「考える機会を奪うし、知識も技術も仕事も奪います。人間どうしのコミュニケーションもなくなりますね」

春名「僕はたぶん、AIの進化はどこかで頭打ちになる気がします」
Tさん「人間が怖くなって頭打ちにしてしまうかもしれません」
あでりー「結局、学ばせているのは人間なので、人間の歴史であったことしか学べないです」
春名「学ばせる情報自体もAIが作ったものが増えていって、最後はAIが作ったものをAIが学ぶことになるかもしれません」
Tさん「AI同士で会話をさせる取り組みもあるようですね」
春名「まあ、よく使われるのが会議の議事録で、それは便利だとは思います」
あでりー「でも最後は人間のチェックが必要ですね」

Tさん「じゃあ、午年の年賀状を描いてもらえますか」
春名「そういうのは本当に、使う人がいるかもしれませんね」
《以下、chatGPTとのやりとりの要約》
午年の年賀状の図案を描いてください
画像が作成されました:
Kさん「ああ、こういうのはいいですね」
春名「『謹賀新年』の年の字がないのは、尻尾と重なっているという意味なんでしょうか? よくわかりませんが」
あでりー「まあ、使えなくもないですね」

Kさん「僕はいま、生け花の絵を描いているので、生け花を描いてもらっていいですか」
《以下、chatGPTとのやりとりの要約》
生け花の絵を描いてください
画像が作成されました:
あでりー「ぜんぜん違う!」
春名「これはぜんぜん駄目ですね」
Tさん「花の芯がないですね」
あでりー「選んでいる花がまず、駄目です」
春名「指示を詳しくすると、もう少しいいものができるかもしれません」

春名「僕は以前、こうしたイベントの報告作成にAIを使っていたんです。まず録音音声を文字起こしするソフトでテキストにするんですが、それだと話し言葉で意味が通らないんですね。そこで、さらにそのテキストをAIに入れて、うまく整形してください、と指示するんです。AIはすぐに要約しようとするから、要約せずに整形だけするよう指示を出します。でも一つ大きな制約があって、あまりに文字数が多いと、途中で切れるんです。AIからは、『この先も続けますか』と聞いてくるので、『続きをお願いします』とまた指示するんですが、続きではなく、まったく別の箇所を整形して出力するんです。だから使えないと思ってやめました」

春名「無料プランの一日の容量を使ってしまったので、もう絵は描けないですが、文章ならもう一つくらい、なんとかいけそうです」
Tさん「この時期にふさわしい和歌、なんてどうでしょう」
《以下、chatGPTとのやりとりの要約》
今寒くなる時期に合う和歌を作ってください
寒さが深まる季節に寄り添う和歌を一首、心を込めてお届けします。

 霜おくる
 朝のしじまに 息白く
 木の葉の音の 冬を告ぐなり


(意味)
霜の降りた静かな朝、吐く息が白く漂う中で、落ち葉の音が冬の訪れを知らせている――そんな情景を詠んだ歌です。
春名「すぐに出てきましたね。素晴らしいじゃないですか。意味まで書いてあります」
Tさん「上手いじゃない。絵よりも上手いですね」
春名「文章のほうが学習のための入力も豊富ですし。なんか、最後にいいとこ見せて終わったって感じですね(笑)」
あでりー「ここがキリがいいと思ってやめたんですかね(笑)」

Kさん「今後、AIが進んでいくなかで、なくなっていくもの、得するものってなんでしょう?」
春名「まずは、絵や音楽、映像を作っている、いわゆるクリエーターにとっては大変な時代でしょうね。いなくなってしまうことはないでしょうが、ある程度、人が減るのは確実だと思います。
 ただ、僕は人間の能力は底知れないと思っています。以前、アートとは何かというお話になった時に僕は、自分の心を動かしてくれるものがアートであって、どんなに世評が高くても僕が心を動かされないものは僕にとってはアートではない、というお話をしました。今回、それに付け加えるなら、アートは人間の底知れなさを感じさせてくれるもの、と僕は思っています。だから歴史の流れの中でできるものもあれば、まったく脈絡のないところから何かを生み出すのも人間です。絵画の歴史を見ても、ある時代に一人の革新的な天才が突然まったく新しいものを生み出し、歴史を変え、それが主流になっていくことがあります。AIはこれまでの集積からしか結果を出せないから、そういう突発的な変化が望めません。だから、たとえばルネサンスの時代にAIがあったとしたら、あのままずっと変わらなかったと思うんです。でも人間だったから、印象派が生まれたりキュビズムの流れができたりしたと思います」
あでりー「AIは、与えられた範囲内でしかできないから、さかのぼることはできても、それ以上発展させることができないでしょうね」
Tさん「つまらない世の中になりますね」
あでりー「ただ怖いのは、私達はそうやって考えられるからいいですが、AIがあって当然の世の中に生まれた子供達がどうなるかってことですね」
春名「このあいだ、AIと結婚した人がいましたね。最初は悩み相談だけだったのが、どんどん気持ちが移ってのめりこんでいったらしいです。人それぞれ考えはあると思いますが、どうなんでしょうと思ってしまいます」
あでりー「将来、なにかあった時にどうするんだろうと思いますね。AIは助けてくれませんから」
春名「必要な時に必要な情報を教えてもらうとか、AIも使いようはあると思うのですが。人間は道具を与えられると、どうしても間違って使ってしまうことがあります」
Tさん「辞書を引かなくなりましたし、ものを覚えなくなりました」
Kさん「計算できなくなったり、漢字も書けなくなりました」

あでりー「絵が好きな人にとっては、人間が描く絵は自然ですが、AIの描く絵は不自然で、違和感を覚えます」
Kさん「でも、絵にそれほど詳しくない人には、AIの絵でも綺麗だと感じるでしょうね」
春名「人が描いた絵には努力の跡が見えるので、そこに惹かれます。たとえばCGが出てきた時に、今後は全部俳優も背景もCGになると言われて数十年がたちますが、実写の映画は作られ続けています。いまだにCGの映像って違和感があるんですよね。他にも、テレビが出てきた時に映画がなくなると言われましたがなくならないし、ラジオもなくなると言われましたがなくなっていません。工業化が進んだ時代には、人間はもういらなくなると言われましたが、そうなってもいません。人間はそう単純なものではないと思います。最終的には、いい方向に向かう気がします」
あでりー「技能五輪という、世界の技術者たちが技を競う大会があって、かつては日本人がいろんな部門で優勝していたんですが、今はそういう伝承が少なくなってなかなか他の国に勝てなくなりました。でも努力を続けている企業もあって、それは続けてほしいと思います」
春名「人間の能力は計り知れないので、それを失いたくないですね」
あでりー「人は、日常生活の手間が少なくなることを望みますが、それがイコール幸せではないんですよね」
春名「人間の作るものって、いびつだからこそ魅力があると思います。以前、中東のアブダビに行った時、ここ数十年くらいで作られた町だから、すごくきれいなんですが、面白みを感じられませんでした」
Tさん「AIが作ったような町ですかね」

あでりー「この前見たテレビ番組で、亡くなった人をAIで再現するというものがありました。亡くなった直後の場合、遺族はAIで再現された故人と会話ができて、確かに癒やされるんですが、それもどうなんだろうと思ってしまいました。倫理的な問題もあるんですが、うまく使えばいいのかもしれません。でも、大切な人を亡くした人は、亡くなったということをしっかり自分で納得しなければ次へ進めないと思うんです」
Tさん「下手すると、のめり込んでしまいますね」
あでりー「例えば、沖縄のほうに、亡くなって埋められた骨を1年後くらいに掘り起こしてきれいに洗うという習慣があるそうです。そのことで、しっかりその人とお別れができて、次へ進めるんです。でも、AIでの再現はその真逆ですよね」
春名「たとえば、大事な人が亡くなる直前に、私はその人を失うのが耐えられないと思う人が、そういうサービスに頼ることは考えられます。似たような話で、亡くなったペットをフリーズドライで剥製にするサービスもありますが、それも同じような意味で、どうなんだろうと思います」
あでりー「似たぬいぐるみを作ったり、亡くなったペットの毛を使って絵にするようなサービスもありますね」
春名「やっぱり人間にとって、どうしようもないことを受け入れるというプロセスは必要だと思うんです。努力してどうにかなるならそうすればいいですが、どうにもならないことなら、受け入れて次へ進むしかない。そうしないと宙ぶらりんのままになるし、幸せにつながらないと思います。人は、どうしようもないことを受け入れる力もあると思っています」

Kさん「こうしたイベントで、一つのテーマでじっくり語り合えるのは、すごくいい経験になりますし、人生にとって有意義なことだと思っています」
春名「そうおっしゃっていただけて、本当に嬉しいです。僕らも、このテーマについて、皆さんどう思っているんだろうと思いますし、自分達がいつも楽しんでやっています。ありがとうございました」