募集中のイベント
Keswickでは、下記のイベントの参加者を募集しています。いずれも、当店舗内でお茶やお菓子を楽しみながら、ワイワイと語り合う内容となります。詳細および参加申込みは、それぞれのバナーをクリックしてください。
イベント開催報告
第2回の旅行会を開催しました。今回は「海外旅行好きな方、大集合!」ということで、渡航経験豊かな2名の方にご参加いただき、店主、副店長と合わせて4名で賑やかに語り合いました。
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【それぞれの旅のお話】
●まずは副店長の春名からこれまでの渡航歴を披露しました。当初はさほど海外旅行に興味はなかったのが、1991年に会社の先輩から誘われて行ったロンドンに感激して以来、毎年のように出かけるようになりました。1994年1月にパリ、同年秋にはサファリのためアフリカのケニアを訪れます。その後しばらくは仕事が忙しくなって中断しますが、1998年には出張のためアメリカ各地を訪れ、そこに休みを付け足して南米最南端のパタゴニアを訪問。パタゴニアでは野生のペンギンを見る目的が果たせず、翌1999年にフォークランド諸島で望みを果たします。2000年2月ではオーロラを見るためカナダを訪れ、同年秋にはかつて訪れたロンドンとパリを両親を連れて再訪。2001年に会社を辞めた際には、大好きだったミュージカル『スターライト・エクスプレス』終演の報を聞いて再びロンドンを訪れ、続いて訪れたパリでは短期アパートを借りて一ヶ月を過ごします。2003年には再びサファリのためタンザニアとケニア、そのトランジットでインドを周遊。2004年には『スターライト・エクスプレス』の巡回公演のため、またまたイギリスのサンダーランド他を訪問。2005年に結婚してからは、夫婦でイギリス、ドイツ、イタリア、ニュージーランドをそれぞれ2〜3週間ほどずつ訪れました。
●次に前回もご参加いただいた、英語教師のUさん:「海外は相当行っているのですが、一番最近だとコロナになる寸前のシンガポール。三十数年前に続き二回目の訪問で、初回のノスタルジックな雰囲気とは違い、二回目は水も電気も使い放題の経済状況になっていました。マーライオンも新しくなり、中国人の存在が強くなり、三十年でこれほど変わるのかと驚きました。シングリッシュと呼ばれるシンガポール流の英語に手を焼き、英語教師としての自信をなくしかけましたが、最終日にイギリス人もシングリッシュは理解しづらいとわかって安心しました。そうして新旧の違いを見られたので、同様にかなり昔に訪れたニュージーランドも今行ったら面白いだろうと思います。
グアムには家族旅行で十回ほど訪れていて、もう何回行ったかわからないほどです。その他、イギリス、イタリア、バリ島、インドネシアのペナン島、カナダ、アメリカ、香港、サイパン、ニュージーランドにも行きました。住みたいと思ったのは、ニュージーランド、オーストラリア、カナダなどで、大橋巨泉のOKギフトショップのある国は確かにいいなと思います。南半球はほっとしますね。」
グアムには家族旅行で十回ほど訪れていて、もう何回行ったかわからないほどです。その他、イギリス、イタリア、バリ島、インドネシアのペナン島、カナダ、アメリカ、香港、サイパン、ニュージーランドにも行きました。住みたいと思ったのは、ニュージーランド、オーストラリア、カナダなどで、大橋巨泉のOKギフトショップのある国は確かにいいなと思います。南半球はほっとしますね。」
●続いて、初参加のSさん:「個人旅行ではなく、ツアーで行くことが多いです。最初は家族でハワイに三度、オーストラリア、グアムなどを訪れ、その後は夫と中国に行ったりしました。10年前くらいにガンを患い、その後は毎年のように出かけています。抗がん剤治療を続けているなかで出かけたスイスも良かったのですが、同行の方からノルウェーのオーロラクルーズを紹介されて出かけてからオーロラにはまり、カナダのイエローナイフやアラスカのフェアバンクスに行きました。クルーズにもはまり、地中海に2回、アドリア海にも赴きました。英語を学ぶためオーストラリアに一ヶ月ほど留学したこともありますが、ほとんど遊んでました(笑)。ポケトーク(翻訳機)を使いながらアメリカのラスベガスにも出かけました。コロナ禍の最初期、地中海クルーズから帰ってきた際にはコロナに罹ってしまい、大変でした。一昨年はふたたびノルウェーのクルーズに行き、前回は北回りだったので今度は南回りを選びました。そして今年、オーストラリア、ニュージーランド、タスマニアを巡るクルーズに出かけました。
今回、この旅行会で皆さんどんなところに行かれてるんだろう、どんな国が良かったんだろうと思い、楽しみに来ました。私はイギリスはなぜか行ったことがなくて、でも今はもっと北のアイスランドに行こうか、それともアジアにも行ったことがないのでベトナムやマレーシアやシンガポールを巡るアジアクルーズにしようか、あるいはカリブ海クルーズにしようか、あたりで迷っています。町の建物を見るのもいいのですが、私は自然を見るほうが楽しいかなと思って、オーロラやフィヨルド、ヴィクトリアの滝を見た時も感動しました。パタゴニアも行きたいのですが、調べると料金が高くてびっくりしました。」
今回、この旅行会で皆さんどんなところに行かれてるんだろう、どんな国が良かったんだろうと思い、楽しみに来ました。私はイギリスはなぜか行ったことがなくて、でも今はもっと北のアイスランドに行こうか、それともアジアにも行ったことがないのでベトナムやマレーシアやシンガポールを巡るアジアクルーズにしようか、あるいはカリブ海クルーズにしようか、あたりで迷っています。町の建物を見るのもいいのですが、私は自然を見るほうが楽しいかなと思って、オーロラやフィヨルド、ヴィクトリアの滝を見た時も感動しました。パタゴニアも行きたいのですが、調べると料金が高くてびっくりしました。」
●最後に、店長のあでりー:「いちばん最初の海外は、語学留学で三週間滞在したカナダです。その後、そこまで頻繁には行っていないのですが、半分は会社の社員旅行でフィリピンやタイに行きました。当時勤めていた会社が地球環境のためマングローブの植林をしており、どちらもその植林体験が目的でした。そのため、普通の観光地ではない無名の場所を訪れることになり、あとで現地の人に話をすると、「なんでそんなとこ行ったの?」と驚かれました。会社の支店のあるニューヨークに一週間行ったり、別の会社に入った時も、二年に一度の社員旅行で韓国に出かけたり。そして、ペンギンが好きなのでどうしても野生のペンギンが見たくて、会社を4か月間休職してファームステイで滞在しました。その後に結婚し、二人で行った場所は先ほどお伝えした通りです。ニュージーランドは21年ぶりの再訪だったのですが、前に行った場所がきれいに変わっていたり、ぼろかった博物館が立派に改装されていたり、前よりも料金が格段に高くなっていたりして、もちろん施設もグレードアップはしているんですが、びっくりしました。」
【写真を見ながらさらに詳しく】
●春名から、1998年のパタゴニア旅行について写真を見ながら詳しく説明しました。ミロドンという動物の骨が発見された洞窟から、絶景で有名なパイネ国立公園を訪れました。グアナコ(ラクダ科の動物)やパタゴニアキツネなどの野生動物、ソーダアイス色のきれいな氷河が印象的でした。氷河のかけらを拾いましたが、途方もない時間をかけて凝縮されているので、すごく固かったです。氷河のそばに野生の馬がいて、怖くて近寄れませんでした。パイネは夕焼けも朝焼けもきれいでした。その後、チリからアルゼンチンに移り、カラファテという村を起点にして、有名なペリトモレノ氷河を訪れます。氷河は高さ60メートルほどで、展望台が目の前にあるからきれいに見られます。夏だと氷が崩壊するのですが、秋だったのでそれは見られず、それでもときおり、ビシッビシッというきしむ音がして、ライフルの銃声のように響いていました。プンタ・アレーナスの公園には原住民の像があり、足に触るとまたここに帰って来られるということでピカピカに光っていました。車を借りて郊外のペンギン営巣地に出かけましたが、残念ながらその時期はペンギンはいませんでした。途中、ダチョウを小さくした大きさのニャンドゥーという鳥を見ました。」
●Uさんからは、ニュージーランドを中心にアルバムの写真を見せて頂きました。「オークランドのガーデンシティでは庭をめぐるツアーに出かけました。スカイタワーがちょうど完成した頃で、中にも入りました。クライストチャーチでは、今はなき大聖堂の中に入ったり、オラナパークという動物園に行ったり、南極センターでは極寒体験ルームに入ったり。大聖堂のそばの聖杯型モニュメントはまだできる前です。その後、テカポ湖を訪れ、善き羊飼いの教会のあたりでは「白い雲がたなびく国」というイメージぴったりの写真が撮れました。ミルフォードサウンドクルーズでは絶景を堪能し、パラセーリングや蒸気船クルーズ、羊の毛刈りショーなどのアクティビティも体験しました。間欠泉で有名なロトルアも訪れました」
●Sさんからも、各地のクルーズの写真を中心に見せて頂きました。「去年、クイーンズエリザベス号でカナダのバンクーバーから西海岸沿いに進み、アラスカなどを巡りました。途中で観光列車に乗り、内陸へ行くこともありましたが、手つかずの原野がきれいでした。氷河は、昔から比べるとかなり減ったそうです。もう少し近くまで寄れるかと思ったら、危険なので遠くから鑑賞するだけでした。氷河の溶けた水でできる滝も見られました。船内ではさまざまなイベントが催されたり、豪華なティータイムもあり、二回ほどドレスアップの機会がありました。
今年、オーストラリア〜ニュージーランドを巡ったのはシルバー・ミューズ号で、バトラー付きのさらに豪華な船でした。シドニーのセントメアリーズ大聖堂を見た時は、郷ひろみの結婚式を思い出しました(笑)。タスマニアではケシ畑を見て複雑な思いにかられ、ハリネズミやタスマニアデビルといった動物も見ました。ニュージーランドのブラフでは各都市までの距離を示す標識がありました。ダニーデンでは、特徴的な風貌で有名な駅を訪れました。」
今年、オーストラリア〜ニュージーランドを巡ったのはシルバー・ミューズ号で、バトラー付きのさらに豪華な船でした。シドニーのセントメアリーズ大聖堂を見た時は、郷ひろみの結婚式を思い出しました(笑)。タスマニアではケシ畑を見て複雑な思いにかられ、ハリネズミやタスマニアデビルといった動物も見ました。ニュージーランドのブラフでは各都市までの距離を示す標識がありました。ダニーデンでは、特徴的な風貌で有名な駅を訪れました。」
●最後に店長のあでりーが、ペンギンアート展(ペンギンに関する創作物を展示するイベント)用にまとめたアルバムを披露。「ファームステイでまずオークランドに滞在し、動物園でブルーペンギンという世界最小のペンギンを見ました。バスで学校に通っていた際、車内に表示が何もないため、降りるバス停は景色から判断するしかなく、合図はバスの前後に渡された紐を引くというもので、苦労しました。オークランドのスカイタワーは展望台の床がガラス張りになっていて、そこで写真を撮りました。学校のそばにアルバート・パークがありました。
北島の北端近くにあるカイタイアでも、ファームステイをしました。90マイルビーチや、カオリツリーという木が有名です。ファームではクジャクとホロホロチョウを飼ってました。
ダニーデンの博物館は、今はきれいになりましたが、当時はボロボロでした。キガシラペンギンの営巣地のペンギン・プレイスは、今とほとんど変わりません。そこでは保護されたペンギンの他、野生のキガシラペンギンやブルーペンギンを見ました。
オアマルではブルーペンギンの保護施設に行き、その後はミルフォードサウンドのクルーズに出かけました。昨年訪れたのは春先でしたが、この時は秋だったので滝の水量が多く、迫力がありました。クライストチャーチでは南極センターに出かけました。子供専用の部屋があって、ペンギンのぬいぐるみだらけで楽しかったですが、去年行った時はなくなってました。ギズボーンは世界でいちばん最初に朝日が見られるところで、ミレニアムの時は観光で沸きましたが、その朝日を見に行きました。そこでは小さな女の子の相手をするのが仕事だったのですが、一緒に農場を歩いている時、牛に迫られて怖くて逃げました。」
北島の北端近くにあるカイタイアでも、ファームステイをしました。90マイルビーチや、カオリツリーという木が有名です。ファームではクジャクとホロホロチョウを飼ってました。
ダニーデンの博物館は、今はきれいになりましたが、当時はボロボロでした。キガシラペンギンの営巣地のペンギン・プレイスは、今とほとんど変わりません。そこでは保護されたペンギンの他、野生のキガシラペンギンやブルーペンギンを見ました。
オアマルではブルーペンギンの保護施設に行き、その後はミルフォードサウンドのクルーズに出かけました。昨年訪れたのは春先でしたが、この時は秋だったので滝の水量が多く、迫力がありました。クライストチャーチでは南極センターに出かけました。子供専用の部屋があって、ペンギンのぬいぐるみだらけで楽しかったですが、去年行った時はなくなってました。ギズボーンは世界でいちばん最初に朝日が見られるところで、ミレニアムの時は観光で沸きましたが、その朝日を見に行きました。そこでは小さな女の子の相手をするのが仕事だったのですが、一緒に農場を歩いている時、牛に迫られて怖くて逃げました。」
【ニュージーランドについて】
●今回、全員にニュージーランド渡航体験があり、「ここ、私も行った!」「ここは今はこうなってるんだ」「昔はこうだったんだ」など、いろんな話で盛り上がりました。春名とあでりーは昨年、主に長距離バスとレンタカーで回りました。レンタカーは日本車で操作は全く同じ、左側通行なのでとても走りやすかったです。この時はペンギンと自然を見るために南島のさらに南側だけに絞って旅をしましたが、行くたびにいろんな楽しみ方ができる国だと思います。
●Uさん「ニュージーランドは箱庭的で、フィヨルドや数千メートル級の山もあれば、大きな町もあり、温泉もある。世界のあらゆる観光が小さい島に集中していて、すごくいいところだと思います。」
●「WWOOF(ウーフ」という団体があり、オーガニックファームを経営するホストの元に滞在して農場の手伝いをしながら滞在できる。時に作業がハードだったり、寝る場所に馬小屋を指定されたりすることもあるが、個人の契約だから気に入らなければすぐに出ていけばよい。あでりーの場合、中間業者を通したため、変なところは紹介されず、いいところばかりだった。
【旅の苦労話】
●とにかく旅のトラブルが多いというUさんが3つほど苦労話を披露してくださいました。その1:「長女がグアムで水疱瘡にかかったことがあり、夫と下の子は予定通りに帰国し、私と長女だけが残されて2〜3週間ほど滞在しました。こういう時は親がうつになったりするけれど、私は言葉がわかるので現地で友達を作ったり、仕事の手伝いをしたりしてなんとかやり過ごしました。治療代の二十数万円は保険会社が直接払ってくれましたが、入院はできずホテルで静養したため、ホテル代が42万円かかり、のちに保険から戻ってはくるものの、まずは自前のクレジットカードで支払いました。これを機に、渡航時にはカードを必ず数枚、常備するようになりました。」
●同、その2:「関空からオーストラリアに行った時は、搭乗寸前に飛行機のトラブルのため再入国させられ、難波のホテルに移動させられました。翌日、関空ではなく成田から飛ぶことになり、新幹線で移動しましたが、名古屋のあたりを過ぎる時には虚しい思いに駆られました。オーストラリアに到着後、その飛行機は『重大インシデント』が発覚したらしく、もしその機に乗っていたら墜落していたかも、とほっとしました。とにかく、何かあったら空港のカウンターで列を作ること(自分達は代替便もすぐに取れたしホテル代や移動代など全てを航空会社が払ってくれたが、そうではない人もいた)、免税品を買わないこと(買うと後で払い戻しになったりして面倒なので)が大事。他にも旅のトラブルは本当に多く、飛行機の遅延やキャンセルばかりですが、おかげでトラブル対処の力はつきました。」
●同、その3「ロスアンゼルスで乗り換えのため8時間空港で待たされた際、ユニセフの募金に引っかかったことがあります。英語で『日本人ですか?』と聞かれて『Yes』と答えてしまい、現金がなければカードでもいい、(たくさんの名刺を見せられて)こんな人も募金してますよ、などと迫られ、仕方なく20ドルほど払いました。困ったように話しかけられたのでつい答えてしまったが、気をつけなければいけないと思いました。」
●副店長の春名も2つほど披露。その1:「アフリカからのトランジットで訪れたインドで入院したことがあります。アフリカを4週間回ったあとでインドに入り、その頃から体にかゆみを覚え、発疹が出始めました。その後、ヴァーラーナスィで沐浴したりするうちどんどんひどくなり、タージマハールを見るためアーグラーに到着したあたりで我慢できなくなりました。ちょうど宿のオーナーの奥さんが日本人だったので、『薬を買いたいから薬局はありますか』と尋ねると、僕の顔を見て『医者に行った方がいい』と言われ、連れていってもらいました。診察してもらうと、アフリカで飲んでいたマラリアの薬のせいだろう、長時間の点滴で血液をきれいにする必要がある、と言われて入院することに。がらんとした病室で一人、手の甲に点滴を刺されて2日ほど過ごしました。トイレに行くと洗面台にコオロギが一杯いて、気持ち悪かったです。運悪く、ちょうど海外旅行保険が切れてしまったあとで、支払いは自腹になりました。一日250ドルで、二泊三日だから750ドルを請求されたのですが、入院期間は48時間以内だから二日分ではないかと交渉し、さらに頭を下げて450ドルにしてもらいましたが、かなりの出費で痛かったです。」
●同、その2:「インドは本当に強烈でした。タクシーに乗ると、絶対に頼んだ場所に連れていかなくて、運転手がマージンをもらっている土産物屋や、旅行会社に連れて行かれてしまう。そんなことが続くうち、いつしか僕はタクシーの後部座席から運転席を蹴りながら、『ちゃんと連れていけよ!』と怒鳴ってました。普段、そんなことしたことはないんですが。他にも、道を歩くだけで絶え間なく話しかけられたり、狭い狭い道を大きな牛がやってきてぎりぎりのところを通っていったり。大変ですけど、面白くもありました。」
【まとめ】
今回の参加者さんは数多くの渡航体験をお持ちで、話は尽きず、2時間があっという間でした。ニュージーランドなど、互いに訪れた体験の違いを披露しあうのも興味深かったです。また、いろんな国を旅していると日本の良さがわかる、若い人は不便な国にどんどん行ったほうがいい、トイレは日本ほどきれいなところはない、などの共通見解も見られました。毎回、主催者がいちばん楽しんでいる気もしますが、参加者さん達が満足そうな顔で帰られるのを見ると、このイベントをやっていてよかったと思います。今回もありがとうございました!
第3回のKeswickイベント、美術会を開催しました。「西洋絵画好きな方、大集合」というテーマで、好きな絵画や画家について語り合いました。
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【好きな画家のお話】
・まずは副店長の春名から、フェルメールについてお話ししました。短い生涯で情報も乏しいため、謎に包まれた感じが魅力の一つでもあります。全部で36作ほどと作品数も少ないため、全制覇しようとする人が後を絶たず、我々二人もこれまでに24作を見ました。日本でも大きなフェルメール展が開かれたりするので見る機会は多く、イギリス旅行で3枚を見たり、ドイツ旅行ではフェルメールの絵6枚を全部見るために日程を組んだりしました。フェルメールに関する書籍も、生物学者・福岡伸一さん監修でとても見やすくわかりやすい『フェルメール光の王国展』をはじめ、『恋するフェルメール/有吉玉青』『フェルメール最後の真実/秦 新二・成田睦子』『フェルメール全点踏破の旅/朽木ゆり子』などを読みました。今後は、未見の12枚ほどを見に行くことが目標です。
・次に参加者のKAさんから、好きな画家としてゴッホを挙げて頂きました。小学生の頃にゴッホに関する本を読み、弟のテオがゴッホを支えたこと、ゴッホの死の一年後にテオが亡くなったあとはテオの妻がゴッホ作品の宣伝に寄与したことなどを知り、興味を持たれたとのこと。その後、大阪でゴッホ展をご覧になり、印刷でしか見たことがなかった「ひまわり」の実物を見て感激されたそうです。持参された画集を見ながら、ゴッホが甥のために描いた絵や、耳を切った後の自画像など、当時のエピソードを交えてお話をお伺いしました。我々からは、「ひまわり」は日本のSOMPO美術館が一枚所持しており、常設展示で見られることをお伝えしました。
・店長のあでりーは、美術好きになった頃に見たロートレックの「黒いボアの女」を紹介しました。縦の線で色が表現されており、そんなやり方があるんだと衝撃を受け、ロートレックを好きになりました。ロートレックで有名なのはムーランルージュなどの一連のポスター画で、どれも描かれる対象の特徴をよく引き出しています。ただゴッホと同様、人間性には問題がある人で、酒に溺れてアルコール中毒になり、36歳の若さで亡くなっています。ゴッホが弟を頼ったように、ロートレックは母親を慕っており、援助も受けていました。彼が母親を描いた絵は他の絵とはすこし異なり、とても優しい画風です。ロートレックの版画はたくさんあり、日本でもアーティゾン美術館など所持している美術館は多いので見やすいです。
・KAさんからは、気になる画家としてもう一人、グイド・レーニの名が挙げられました。天使の絵が多く、いつも天使が目を上に向けているのはなぜでしょう、というお話がありました。我々もイタリアでグイド・レーニの絵はいくつか見てきたので、巨大で迫力のある絵が多かったという感想をお伝えしました。KAさんは美術関係の本をいくつかお持ちいただいたので、それを見ながら詳しいお話をすることができました。
・建築家のKIさんは中学生の頃から生け花が趣味で、絵も小学生の頃から描かれており、高校から美術の学校に進まれたとのことでした。今は職業柄、キリスト教会を見るのも好きで、ステンドグラスにもご興味がおありとのこと。シャガールが大好きで、色彩がきれいなところや、見る人や見る時期によって絵の意味合いが違ってくるところも面白い。同じ絵を見ても、ある時は楽しそうに見えたり、別の日に見ると悲しそうに見えたりする、それも大きな魅力だということでした。我々も2015年に訪れたドイツのマインツで、シャガール作のステンドグラスを見て感激したお話をしました。
・店長のあでりーから、現在豊田市美術館で開催されている、エッシャー展についてお話ししました。とにかく素晴らしい展覧会だったので、二人して年間パスを購入し、期間中にあと何度か観に行く予定にしています。エッシャーはだまし絵の人という印象がありますが決してそればかりではなく、数学的な知識に基づいて描かれたイラスト風の絵があったり、普通の絵でも異常なまでに細かく緻密に描かれていて、どの絵を見ても圧倒的な画力とオリジナリティを感じます。ほとんどが版画とエッチングなので黒と白だけの絵が多いのですが、見ているとそこに色がついているように思えてきます。会場では絵を大きく引き伸ばした画像が壁に貼られていて、その画像がまったく粗く見えないので、オリジナルがどれほど細かく描きこまれているかがわかります。それを聞いた建築家のKIさんから、「建築のプレゼンテーションでは、大きく描いたものを縮小して緻密に見せるのに、逆ですね」という驚きの声がありました。
・副店長の春名から、もう一人好きな画家、カラヴァッジョのお話をしました。先に出てきたゴッホやロートレックもなかなかの変人ですが、美術会最強の変人といえばこの人で、荒くれ生活の末になんと殺人を犯して逃げ回り、最後は野垂れ死にした画家でした。なのに物凄い天才で、神々しい祭壇画から小さな静物画、人物画など、下書きなしで超一級品の絵を何枚も描きました。バロックの幕開けとして登場した彼からルーベンス、レンブラントにつながっていく系譜として、後世の画家に与えた影響は計り知れません。我々が2018年に旅したイタリアは、カラヴァッジョを巡る旅でもあって、彼の絵がある美術館や教会をくまなく見て回りました。礼拝堂でカラヴァッジョの絵を見ると、キリスト教徒ではない我々も胸に迫るものを感じずにいられません。彼の絵が世界のどこで見られるかを自分でまとめた「カラヴァッ帳」を作り、旅先でも持ち歩きました。今後は、カラヴァッジョが逃げていく先々で絵を描いて残したイタリア南部地方(ナポリやシチリア島)を旅してみたいと思っています。書籍も、日本のカラヴァッジョ研究の第一人者である宮下規久朗氏がカラヴァッジョの生涯と作品をまとめた『カラヴァッジョへの旅〜天才画家の光と闇』や、カラヴァッジョの真作が見つかった経緯を追ったノンフィクション『消えたカラヴァッジョ』など、読み応えのあるものが多数出版されています。
【美術に関する意見の数々】
・絵を鑑賞するにあたり、キリスト教や歴史の知識が非常に役立つし、西洋でも日本でも宗教をモチーフにした似たような題材の絵(地獄を恐ろしいものとして描く、など)があって面白い。
・ふだん、美術の情報をどうやって得ているのかというご質問がありましたので、毎年年末に出る「美術ぴあ」など、翌年の美術展が一覧で記載されているムック本を買って読んだり、NHK-Eテレで毎週日曜朝9時から放送されている『日曜美術館』、9時45分からの『アートシーン』という番組を見たりしていることをお伝えしました。
・ゴッホの「ひまわり」の絵を表示するためSOMPO美術館を調べていると、現在の特別展がロートレック展ということで、不思議な結びつきがありました。同美術館の次の特別展がカナレット展ということで、カナレットの絵についても少し話が及びました。
【まとめ】
初めて開催した美術会は、我々二人がノリノリで企画し実現したもので、当日も二人して精力的にしゃべりまくり、想像した以上に楽しい会となりました。パソコンとモニターを使い、気になる絵や情報があれば即座に調べて画像をみんなで見る、という方法も非常に効果的で、話を深めることができました。苦労して準備をしたかいがありました。今後も、いろんなテーマで美術を語り合う機会を作りたいと思っています。
第2回のKeswickイベント、旅行会を開催しました。「イギリス好きな方、大集合」というテーマで、渡航経験のある3名の方にご参加いただき、店主、副店長と合わせて5名で賑やかに語り合いました。
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【それぞれの旅のお話】
・まずは副店長の春名から、5回のイギリス渡航経験をお話ししました。1991年に初めての海外旅行で訪れ、公園の快適さ、ミュージカルの楽しさ、夜景の美しさに感激しました。2000年には親子3人で再訪し、2001年には大好きなミュージカル『スターライト・エクスプレス』終演のために訪問、2004年にはイギリスのサンダーランドで同ミュージカルの巡業公演を観るため訪問、2010年には結婚後に初めて二人で海外に出かけるのにイギリスを選んだこと、等々をお伝えしました。
・次にUさんご夫婦より、英語を習ってらっしゃった奥様と、オーディオの「タンノイ」に興味があるためイギリスの地名に詳しいご主人とのなれ初めに始まり、1999年5月の新婚旅行でのお話を当時のアルバムを見せていただきながらお話しいただきました。副店長の再訪時期とも重なっており、まだロンドン・アイ(大観覧車)ができていなかったこと、バッキンガム宮殿の衛兵交代式を二度見に行ったことなどを興味深く拝聴し、ハイドパークやセントジェームズパークのきれいな写真を堪能しました。湖水地方ではホテルがウィンダミア湖のすぐそばということで、我々二人も訪れた場所だったため、食い入るように写真を見せて頂きました。さらに、おそらくケズウィックのストーンサークルもご覧になったことをお聞きし、当店の店名にもなった町ですので嬉しく思いました。その他、ロンドンは五つ星ホテルだったのに蛇口をひねったら泥水が出てきた、テーラーであるお父さんのために有名なサヴィル・ロウ通りで生地を買ったらぺらっぺらの生地だった、などというエピソードもお伺いしました。
・次にKさんから、昨年の10月に訪れたというホヤホヤのお話をお聞きしました。パリ滞在中、ユーロスターを利用して一泊二日でロンドンを訪れたということでした。しかもそのパリ滞在は、ルーブル美術館の地下にご自分で描かれた絵を飾るため、というところから驚かされました。短い滞在時間の中、バッキンガム宮殿の衛兵交代式、ロンドン・アイ、ビッグ・ベンあたりを訪れたそうです。夜には偶然、タワーブリッジの跳ね橋が上がるところに遭遇され、その様子をビデオで見せて頂きました。
・次に店長のあでりーから、我々二人で出かけた2010年のイギリス旅行についてお話をさせて頂きました。レンタカーで湖水地方を訪れ、宿泊地のケズウィックとウィンダミアを回りました。ケズウィックでは、ダーウェント湖を見下ろす景色が幻想的で美しいサプライズビュー、円形に置かれた石のモニュメントのストーンサークルが印象的でした。その後、ワシントン市の水鳥センターでは、のちに当店のマスコットキャラクターとなるオウギアイサという鳥を見ました。それからサンダーランドという海辺の町で一泊した際、車を駅前に停めたら駐車禁止を貼られました。翌日の朝、サンダーランドからロンドンに引き返したのですが、渋滞に巻き込まれ、宿に着いたのは20時くらいでした。ロンドンでは、二人で一泊3,000円ほどの短期アパートで一週間を過ごしました。オーガニックのボロー・マーケットで食材を買ってキッチンで料理したり、バスタブにゆっくり浸かったりなど、快適に過ごしました。ロンドンの南にあるセブン・シスターズという海岸に行った時は、台風なみの強風でしたが、景色は素晴らしかったです。テムズ河クルーズで訪れたグリニッジ天文台では、子午線を踏むという夢をかなえることもできました。ビッグベンやタワーブリッジなどの有名観光地のほか、美術館を訪問したり、ミュージカル『ライオンキング』を鑑賞したり、一週間のロンドン滞在を楽しみました。会の後半では、副店長が自分で編集したビデオを見せながら説明をしましたので、わかりやすくお伝えできたかと思います。
【イギリスこぼれ話】
・ジェントルマンが多く、ベビーカーを引いている女性が「ヘイ!」と呼ぶと周りの男性が協力して運んでくれたり、階段で重いスーツケースを持ってくれたりなど、日本との違いに驚かされます。
・昔はトラベラーズチェックがよく使われていて、使う時は店員の目の前でサインをしないといけない、未サインの状態なら落としてもまた発行できる、という懐かしい話で盛り上がりました。若い方にはもう、トラベラーズチェックという言葉が通じないようです。
・伝統的なイギリス料理ではないけれど、オーガニックパブや野菜レストランの食事、カレーなどで美味しい店はいくつかありました。そして、困った時にはフィッシュ&チップスが一番。
【まとめ】
数十年前の懐かしい話から昨年のできごとまで、多様なお話が交わされ、とても楽しい時間を過ごすことができました。店内に設置してあるイギリス地図を使い、話のたびに場所を示して確認したのもわかりやすかったと思います。今回のイベントを機に久しぶりにイギリスを訪れたくなったというご意見もあり、いろんな意味で良いイベントになりました。今後もまた同様のイベントを続けていきたいと思っています。
記念すべき第1回のKeswickイベント、読書会を開催しました。特にテーマは定めず、参加者さんが好きな本、いま他の人に特におすすめしたい本を何冊か選び、紹介しあいました。
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【紹介された本】
◆ プロジェクト・ヘイル・メアリー/アンディ・ウィアー(著),小野田和子(訳)
まずはSF好きの参加者さんが、電子書籍にて紹介。なんと、“人生ベストとも言える本”とのことで、激推しの一冊でした! SFが苦手な人でも読みやすく、意外な方向に話が転がり、どこに連れて行かれるかわからない楽しさがある。ただ、何を言ってもネタバレになるので、あらすじも喋れない。主催の春名も、次くらいに読もうかと思っている本でしたから、さらに読む意欲が高まりました。もうすぐ映画化されるため、それまでに読んでおいたほうがいいかもしれません。電子書籍だと安売りされることもあるので入手しやすいようです。
◆ 歌うように伝えたい/塩見三省
次に主宰者の春名が紹介。映画『アウトレイジ』での強面ヤクザ役が印象的だった俳優の塩見三省さん。彼が脳出血で倒れて半身不随になり、絶望の淵でなんとか動かせた右手で書き始めた文章をまとめたのが本書。前半は、リハビリで出会った他の患者さんや療法士さんに助けられた闘病記、後半は一転、俳優としての半生を振り返る内容となる。大杉連と昔からつるんでいたこと、思ったとおり岸部一徳はいい人だった、松岡茉優はすごい子だなあ、など素直な感想が書かれているのも面白い。そうしてあらためて振り返ると、過去の自分のおこないが今の自分を助けてくれている。ならば、未来の自分のために今をしっかり生きなければと思えてくる。どんな自己啓発本よりも生きる指針になる一冊。
◆ 最終結論「発酵食品」の奇跡/小泉武夫
店主のあでりーが紹介。発酵に関する専門家の著者が、世界各国の発酵食品を紹介する。大根などの野菜以外に、世界には魚や肉などの動物性食材を使った発酵食品が存在し、カニをどろどろになるまで潰して発酵させたものや、アザラシのお腹で小鳥を発酵させて作るキビヤックなど、強烈な発酵食品がたくさんある。和紙を味噌に練り込んで食べたり、戦国時代に使われた火縄銃の火薬など、食品以外でも発酵の技術は使われている。こうしたものを世界で食べ歩き、何でも美味しい美味しいと食べる著者が印象的。この本を読み、自分も「なまぐさごうこ」を作っている。まずはカタクチイワシで魚醤を作り、そこに大根を漬け込むもので、全部で5年ほどかかる。
◆ 教養としてのコーヒー/井崎英典
食品つながりで紹介。カフェを経営し、コーヒーの焙煎もおこなっている紹介者さん。紅茶はイギリス、コーヒーはアメリカというイメージは、ボストン茶会事件という史実に基づいているなど、歴史の観点からコーヒーが語られる。コーヒーの歴史について書かれた本はたくさんあるが、本書が一番読みやすい。著者はワールド・バリスタ・チャンピオンシップでアジア人初の世界チャンピオンとなり、現在はコーヒーコンサルタントとして国内外の企業のビジネスに関わっている。
◆ テスカトリポカ/佐藤究
一転してこちらは、どエンタメ小説。麻薬カルテルのはびこるメキシコで兄を殺された少女が、流れ着いた先の日本で息子のコシモを産む。名高い暴力団員だった父親の血を引き継いだコシモはやがて身長2メートルを超す大男となり、怪物性を目覚めさせていく。一方、麻薬抗争により壊滅させられた組織の幹部バルミロはインドネシアへと逃げ延び、そこで凄腕の心臓外科医・末永と出会う。末永はバルミロに、自らのオペ技術を生かした臓器売買ビジネスをもちかける。日本で誕生したこの闇ビジネスにコシモも参加するが、やがてバルミロとの対決を迎えることに――。書名の「テスカトリポカ」とは、アステカ文明の神様の名前。神に心臓を捧げるアステカの人身供犠と心臓移植がつながり、一級品のクライムサスペンスに仕上がっている。
◆ 発酵道/寺田啓佐
発酵つながりで紹介。著者は、千葉県で300年以上つづく酒蔵に婿入りしたものの、酒が売れなくなり、醸造所が立ち行かなくなる。追い打ちをかけるように著者は、腸が腐っていく病気にかかってしまう。病床で彼は、自然に逆らったことをしてきたから腸が“腐敗”した、これからは自然に積極的に関わる方法でやっていこうと決心する。添加物を使って安く安易に作っていた酒造りをやめ、昔ながらの自然酵母に任せた方法を採用することにより、経営もうまくいき、著者自身も健康を取り戻していった。腐敗と発酵という、似ているが真逆の現象に、日本酒造りと人生とがつながっていく様がおもしろい。
◆ ベートーベン捏造/かげはら史帆
誰もが認める大作曲家ベートーベン。耳の聞こえないベートーベンが使っていた筆談メモを基に、後年の研究者は作曲家像を構築していった。ところがそのメモに消されたり書き直された跡が見つかり、内容が捏造されていたことが1970年代に発覚する。”犯人”は秘書のシンドラー氏で、発覚当初、彼の名誉欲による行為だと思われていた。本書はシンドラーの心理に焦点を絞り、彼がベートーベンを過度に崇拝するあまり改ざんに及んだのではないかという、独自の新しい視点で読み解く。しかしそこにもまた、BL文化を経た著者のバイアスがかかっており、いろんな意味で楽しめる一冊。
◆ 飼い食い/内澤旬子
世界の屠畜事情をまとめたレポ『世界屠畜紀行』で有名な著者だが、いつしか自分でも屠畜をしてみたくなったという奇天烈な女性だ。千葉の田舎に物件を見つけ、小屋を建てて三匹の豚を飼い始めるのだが、初めての経験のためもちろんうまくいかない。本書はまず、苦労と苦闘の続く飼育奮戦記として滅法おもしろい。そうして手塩にかけて育てるうちにどうしても情が湧いてしまうが、最後には自分で殺して肉にすることが決まっている。読者もどんどん三匹の豚に感情移入していくため、最後にはどうなるのか、著者は本当に豚を殺してしまうのか、気が気ではなくなってくる。愛玩動物と家畜の違い、殺していい動物といけない動物に勝手に分けていいのかなど、突飛な内容ながらも考えさせられる奇書。
◆ 偶然の聖地/宮内悠介
大量に置かれた注釈が特徴という、非常に変わったSF小説。SFの世界観に浸りかけたかと思うと注釈が入るため、そのたび現実に引き戻されてしまう。主人公の怜威(れい)が行方不明となった祖父を探すため、地図になく検索でも見つからないイシュクト山を目指す旅に出る、といったあらすじだが、紹介者さんいわく、ストーリーはあまり頭に入ってこないとのこと。読みづらさはピカイチだが、そこが面白く、新しいともいえる。だから万人にお勧めできる本ではない。著者いわく、『なんとなくクリスタル/田中康夫』(多すぎる注釈で有名な80年代初頭のベストセラー)を目指して書いたらしい。
◆ 体の贈り物/レベッカ・ブラウン
一人の女性ヘルパーと利用者たちを描いた小説。自然食指向なのに甘いお菓子が大好きなリック。プライドが高いコニーは、無理をして食事をしてはトイレで吐き、それに気づかないふりをする主人公。ホスピスに予約を入れたエドは、入りたいけれど入ったら終わりという思いもあり、空きが出るたび尻込みしている。実際に入ってみると友だちもたくさんできて元気に過ごしていたが、やがて友達が一人ずつ死んでいく現実を前に落ち込んでいく。主人公が様々な人たちとふれあう中で、人間の哀しみや生きることの不可思議が浮かび上がる。20ページ足らずのエピソードが続くので読みやすく、その割に読み応えがあり、読後感はそれほど重たくない。
◆ ガザとは何か/岡真理
ガザ地区について、歴史の流れを丁寧に追った一冊。現在起きていることの真の意味合いも見えてくる。京大と早大で開かれた緊急講義を書き起こしたもので、大事なところは繰り返し出てくるので頭に入りやすい。ガザ関連でなにか一冊と言われれは本書。
※以上、紹介者の発言に、あらすじ等を主催者側で付加している部分もあります。
【まとめ】
初めてのイベント開催で、事前は緊張しながら迎えたのですが、参加者さんが積極的に発言してくださったこともあり、とても楽しい会となりました! コーヒーの本が紹介されれば各人のコーヒーの好みや習慣を披露し合ったり、日本酒発酵の話の時は好きなお酒の話に花が咲いたり、カフェ経営にまで話が及ぶことも。大いに盛り上がり、2時間があっという間でした。参加者さんには心から感謝しています。「ここ数年、こういうことをやってなかったので、思いが溜まっていたのかもしれません。楽しかったです」とのお言葉をいただき、僕もまったく同感で、本当に嬉しく思いました。Keswickの初イベント、第1回の読書会は、大成功に終わりました。どうもありがとうございました!
今後の開催予定
◆読書会 …… 好きな本や作家について語り合います。お勧めの本を紹介し合う形式や、課題本を決めて事前に読了し、感想を語り合う形式などがあります。
◆映画会 …… 好きな映画や俳優について語り合います。お勧めの映画を紹介し合う形式や、課題作品を決めて事前に鑑賞し、感想を語り合う形式などがあります。
◆美術会 …… 好きな画家や絵画、美術全般について語り合います。お勧めの作品や美術館、美術展を紹介し合う形式や、課題作品を決めて事前に鑑賞し、感想を語り合う形式などがあります。
◆旅行会 …… 主に海外について、好きな場所や行ってみたいところについて語り合います。お勧めの場所を紹介し合う形式や、場所を決めて感想を語り合う形式などがあります。行きたい人と行ったことのある人との情報交換の場になるかもしれません。
◆ゲーム会 …… ルールが簡単で誰でも楽しめる、アナログのボードゲームをプレイします。
◆テーマトーク …… 毎回、テーマを決めて皆さんで語り合います。音楽、仕事、将来の夢、介護、等々、様々なテーマで自由に語り合いましょう。