~ 本場のティータイムを、岡崎で ~
イベント開催報告
◆2026.2.8 Keswick美術会
 〈西洋絵画好きな方、大集合!〉
今回は好きな西洋絵画について、ざっくらばらんに好きなようにお話をしました。我々スタッフ側から、イタリアやドイツなど、過去の絵画めぐりの旅のお話もさせていただきました。
【今年の美術展のお話】
※美術系ムック『日経おとなのOFF 2026年絶対見逃せない美術展』を見ながら、お話をしました.
前回に引き続き美術会ご参加のNさん「最近、この本を買いました。これから大阪や東京にも年に一度は見に行こうと思っていて、スケジュールを考えるのも楽しいです。昨日は愛知県美術館でゴッホ展を見てきました」
店長・あでりー「私達も行きました。ゴッホと家族とのつながりもわかって面白かったです」
Nさん「ゴッホは全体的に青みがかった絵が多い気がしますね。伏見のミリオン座では、『ゴッホ 最後の手紙』という映画を上映するようです」
副店長・春名「以前、見たことがあります。ゴッホ風の絵で映像を作り上げる、少し変わった映画でした」
Nさん「ゴッホは、義理の妹のヨーが、いろんなところに彼の絵があるようにと配慮していて、それが素晴らしいと思いました」
あでりー「しかも、散逸しすぎないよう、彼女はバランスを取っていました」
春名「ゴッホは、才能はもちろんのこと、絵の勉強をずっと真面目にやっていて、それがあっての奇抜な描き方なので、これだけ惹かれるんだと思います」
あでりー「ちゃんと描ける人は崩すほうが難しいので、ゴッホにはそれができたという点ですごいです」
カフェ常連のTさん「ピカソもそうですね。なにか、違う視点が見えてくるんでしょうかね」
春名「ゴッホはミケランジェロが好きで、ミケランジェロの絵は腕が流すぎたりしてリアルでないと言われるけれど、だからこそ見る人が動きを感じるんだとゴッホは言っていて、自分でもそうやって崩して描いていたようです」
あでりー「神戸のゴッホ展ではそうした内容の手紙が紹介されていて、すごく面白かったです」
Nさん「ゴッホは人のために描いていたらしくて、そこにも惹かれます」

春名「(本を見ながら)山梨美術館とか大原美術館では、常設で名画が展示されています。Nさんは特にお好きな画家はいらっしゃいますか?」
Nさん「とくにこの人、という画家はいなくて、これからいろいろ見ていきたいです」
あでりー「本の表紙はやはり、ダ・ヴィンチですね」
春名「ダ・ヴィンチは真贋論争のある絵が多いですが、今回展示の『美しきフェロニエール』は真作とされています」
あでりー「ロートレックの展覧会もありますね。ロートレックは大好きです」
Nさん「私も好きです」
春名「書き殴ったような絵もありますが、パリを切り取った雰囲気がいいですね」
あでりー「いま豊田市美術館でやっている高島野十郎展があるんですが、西洋絵画との関連でいうと、彼の自画像は、彼が好きだったドイツのデューラーの影響を受けていて、見比べるとよくわかります。デューラーは他にも、ウサギの緻密な絵や、サイの版画なども有名です」

あでりー「オルセー展も良さそうですね。マネの描いた、視線を合わせない家族の絵が気になります」
春名「マネは以前に日本に来た『フォリー・ベルジェールのバー』という作品があって、ロンドンの現地でも見ました。ロンドンにはたくさん美術館があり、ナショナル・ギャラリーには膨大なコレクションがあり、しかも無料なんです」
あでりー「大量のターナー作品やエヴァレット・ミレイの『オフィーリア』が展示されている、テート美術館も無料なんですよ」
【美術本とイタリア旅行】
春名「知識があればあるほど、絵を見るのが楽しくなります。西洋絵画の本だと、『西洋美術史/高階秀爾』がいちばん有名で、すこし固い文章ですが、基本になる一冊です。ただ、最初からきっちり読もうとするとしんどいので、なんとなくパラパラ見ていって、気に入ったところを読むのがいいと思います。
 ルネサンス時代くらいが、馴染みがあっていいですね。たとえばレオナルド・ダ・ヴィンチが好きなら、ダ・ヴィンチが手本にした画家がいて、ダ・ヴィンチ以上に上手い絵を描いていたりするのを知ることができます」
あでりー「そうやって遡っていくと、その時代のパターンも見えてきて、それに対するダ・ヴィンチの革新性もわかります」
春名「ダ・ヴィンチはフレスコ画が嫌いだったんです。フレスコ画は壁の漆喰が渇ききらないうちに絵を描き、漆喰と一緒に塗り固めることで絵の具が定着する技法です。でも、重ね塗りや塗り直しができず、素早く描かないといけないので、ダ・ヴィンチはそれを嫌ったんです。だから有名な『最後の晩餐』も乾いた漆喰の上に絵を描いたんですが、絵の具がどんどん剥げ落ちていって、描いた数年後にはもう劣化が始まっていたんです。他にも、ミケランジェロは壁画と彫刻が中心で、完成した板絵は一枚だけだったとか、イタリアに旅行に行った時、事前にルネサンス期の勉強をしていったので、すごく楽しかったです。その時に読んだ本では、『すぐわかる作家別ルネサンスの美術/塚本博』がすごくよかったです。画家ごとに分けて書かれていて、それまで知らなかった有名な画家をたくさん知ることができました」
あでりー「知識がないと、せっかく現地に行くのに損することになります。学校の勉強はやる気になれなくても、好きなことなら夢中で学べます」
Nさん「イタリアは行きたいんです。建物も何もかもが芸術ですよね。むかし、『冷静と情熱のあいだ』という映画を見て、フィレンツェはきれいだと思いました」
あでりー「現地では一日に美術館をいくつもハシゴしましたし、教会に行くと、すごい絵が無料で見られたりします。毎日名画ばかり見ているので感覚もマヒしてきて、どんな巨匠の絵でも『ふ~ん』という感じになります(笑)」
春名「イタリアでは、フィレンツェとローマに一週間ずつ、ミラノに3日くらいいました。安い民泊に泊まり、キッチン付きの部屋で自炊してました。生ハムとか、食材も安く手に入って、しかも美味しいんです。
 それから先程の『すぐわかる~』という本では、ルネサンスの始まりとも言われるレリーフ制作の競技会があり、上位2作となったギベルティとブルネレスキのレリーフが紹介されていました。これをフィレンツェのバルジェッロ美術館で見て、今から600年前くらいに、ここからルネサンスが始まったんだと思うと感激しました。同じ美術館では、ドナテッロのダンテ像も本で見て気になったので、やはり実物を見て感激しました」
あでりー「ルネサンス期には、お金持ちの商人が自分専用の礼拝堂を建てていました。そうした一つのブランカッチ礼拝堂では、フレスコ画をマザッチオという画家が描いていて、ダ・ヴィンチやミケランジェロが通っていたんです。そこに行った時には、自分達がいる場所に彼らがいたと思うと感慨深かったです」
春名「とにかくイタリアは素晴らしかったです。最初にローマに到着して、たまたま通りがかった教会にふらりと入ったら、サンタ・マリア・マッジョーレ教会という、ローマでも由緒正しい4大バジリカの一つで、衝撃を受けました」
【カラヴァッジョとイタリア旅行】
春名「イタリアだと、カラヴァッジョが僕は好きです。17世紀の巨匠です。カラヴァッジョはもともと村の名前で、本名はなんとミケランジェロ、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョといいます。ダ・ヴィンチと同じパターンですね」
あでりー「以前、東京で開かれたボルゲーゼ美術館展に行って、その時のメインビジュアルはラファエロの『一角獣を抱く貴婦人』だったんですが、カラヴァッジョの絵のほうに感銘を受け、この人すごい、と思いました」
春名「その後、2016年のカラヴァッジョ展に僕も行って、すごく気に入りました。暗い中に人や風景が浮かび上がるような絵が多いです。おどろおどろしい感じもありますが、すごくドラマチックなんです。レンブラントやラ・トゥールなど、暗闇の中に浮かび上がるような表現は、カラヴァッジョが始まりなんです」
あでりー「カラヴァッジョのさらにすごいのは、それまでの絵は理想化されたきれいな人物や自然を描いてきたのが、彼は腐りかけの果物や枯れた葉っぱなど、ありのまま見たままを描いたんです。娼婦をモデルにマリア様を描いたり、キューピッドをなまめかしく描いたりして、引き取りを拒否されたこともありました」
春名「足の裏が黒く汚れた巡礼者とかね。それからカラヴァッジョは、下書きをせずに描いていたことでも有名です」
あでりー「ミケランジェロも同様に、大理石を見ただけでその中に像の姿が見えたらしいですが、どちらも天才ですね」
春名「カラヴァッジョの絵を見るために、イタリアではフィレンツェ、ローマ、ミラノを選びました。教会では無料で見られるので、通りがかるたびに入って見たりしました。いちばん好きなのは、ローマの教会にある『マタイ三部作』です。神々しくて、二回ほど見に行きました。
 カラヴァッジョについては、一冊にまとまった手頃な本がないので、自分で一覧を作り、印刷してまとめています。ちなみにカラヴァッジョは荒くれ者で、ケンカに明け暮れた末に人を殺して逃げ回り、最後は野垂れ死にしました」
Tさん「友達にはなりたくないですね。でも岡崎にカラヴァッジョ展が来た時には見に行きました」
【フェルメールとドイツ旅行】
春名「フェルメールも好きな画家で、日本で美術展があれば必ず行きますし、海外の美術館でも見てきました。現存する35~36枚の絵のうち、これまでに24枚くらいを見ました。ドイツではフェルメールの絵を見るためにスケジュールを組んだので、ドイツにある絵はすべて見ました」
Nさん「私も好きです。絵の数はそんなに少ないんですね」
春名「今年はまた、『真珠の耳飾りの少女』が来日しますね」
あでりー「前回のフェルメール展は、東京と大阪に見に行きました。私は『牛乳を注ぐ女』が好きです。絵を見始めた頃は、フェルメールで絵画にはまっていった気がします」
Nさん「女性の絵が多いですね」
春名「男性の絵は、『地理学者』と『天文学者』だけです」
あでりー「『地理学者』は、なぜか豊田市美術館に来ましたね」
春名「フェルメールは、いい絵とそうでない絵があって、本当に真作かと疑うものも多いです」
あでりー「メーヘレンという有名な贋作者もいました」
【ルネサンス前後】
春名「ルネサンスで現代絵画が確立されて、それ以前をたどっていくとモザイク画や立体表現に乏しい絵になるんですが、不思議なもので、さらにさかのぼって2千年前くらいの絵になると、また緻密でリアルな絵が出てきたりします」
Tさん「そうした文化が一度滅びたのかもしれませんね」
あでりー「ポンペイの遺跡とかを見ると、十世紀くらいの絵に比べてよほどリアルな絵がありますね」
春名「建物や上下水道の仕組みとか、現代でも難しそうなものが作られてたりして驚きます」
【ジョット】
あでりー「私はジョットが好きです。イタリア絵画史の最初に出てくるのがチマブーエですが、羊飼いの息子だったジョットの描いた絵を見てチマブーエが弟子にしたという逸話があります。多才な人なので、フィレンツェの大聖堂のそばにある塔はジョットが設計して、ジョットの塔と呼ばれています」
春名「パドヴァにあるスクロヴェーニ礼拝堂の内部装飾絵画も手掛けました。大塚国際美術館で原寸大レプリカを見て感激しましたが、いつか本物を見たいと思っています」
あでりー「その中でいちばん有名な壁画が『ユダの接吻』です。それまでの絵と比べて、個性のある人間として人物を描いた最初だと言われています」